会社の資本を減少させる登記手続き
会社の経営上、資本を増加させる事はよく行われますが、資本を減少させるという手続きも行われる事があります。
但し、資本金を減少させる手続きの場合、官報公告にて債権者保護手続きが必要で、実務上債権者(取引先)からマイナスイメージを持たれる事があり、手続きを行うかについて慎重に検討する必要があり、また、資本金を減少させる手続きは法人格によって制限が設けられている場合があるので注意が必要です。
寺西広司法書士事務所では、各種法人の資本の減少手続きも承っておりますので、お考えの際にはまずご相談下さい。お客様の会社の現状と今後を踏まえた上で、手続きについてご説明させていただいております。
尚、資本減少は税務上の問題も発生しますので、税理士さんにもご相談される事をお勧めします。
株式会社の減資は配当や損失補填のために
株式会社の資本金は、原則会社に対して株主が出したお金です。資本金が多ければ、沢山出資が集まる会社と言う事で信用も高まりますが、この資本金を減少させる必要が出てくる場合もあります。
まず代表的なケースとしては「株主に配当する場合」です。
会社に剰余金がない状況で配当を行う場合、取締役会や株主総会で資本減少の決議を行い、資本金を減少させて株主等に配当する事が出来ます。(但し、配当金額には法令上制限があり、手続きの際には専門家に相談する必要があります。)
次によくあるケースは「損失補填のため」に資本を減少させる場合です。これは、損失が出ている場合、会社の資本金を取り崩して損失補填する事で貸借対照表の体裁を整えるものです。
例えば、代表者の未払い報酬がある場合、これを会社に現物出資して資本金を増加させた後、増加した資本金を使って損失を補填し、最後に資本減少手続きを行う事で、未払い報酬をなくして貸借対照表の体裁を整える事が可能です。(※この場合は資本金の増資登記も行うため費用が別途必要。)
その他「会社規模に応じて課税される税金軽減するため」等に利用される事もあります。
これは法人税や法人住民税を軽減を図るために資本金を減らし会社の規模を小さくするものです。ただし、この場合は登記事項証明書(登記簿謄本)上での資本金を減少させただけでは足りない場合があるので、税理士さんと相談の上で検討する事が必要です。
尚、いずれのケースにしても債権者保護手続きが必要です。
債権者保護手続きとは、資本減少に異議があるなら申し出て欲しい旨を一ヶ月以上の期間を定めて官報に公告し、且つ会社の債権者に通知する手続きで、会社の大事な財産的基礎である「資本金」を減らす事が、場合によっては債権者の権利を侵害する可能性があるため必要とされています。
資本減少の効力は、債権者保護手続き完了時に発生しますので、官報公告等の申込から二ヶ月以上の期間を要します。手続きをお考えの場合には十分な期間をみていただく事になりますので、まずはお早目にご相談下さい。
費用のご案内
(株式会社の減資) |
当事務所基本報酬
金55,000円(税込)
+
実費
(登録免許税 金3万円・事後謄本費用等)
+
官報公告費用
(金3〜4万円前後)
+
その他登記費用
(資本金減少の登記以外の登記がある場合)
※未払い役員報酬を現物出資して
資本増加させた後に損失補填し、
その後資本減少登記を行う場合など。 |
- 他手続きもご依頼される場合別途費用がかかります。ご相談下さい。
- 完了後にお渡しする登記事項証明書一通分の費用が含まれています。1通以上必要な場合には、必要通数分の実費を追加で頂いておりますのでご依頼の際にお申し付け下さい。
- 当事務所の司法書士がお客様の所へお伺いする場合は、出張費を頂く事がありますのでお問合せ下さい。
合同会社の場合は役員への払い戻しや損失補填に
株式会社は決議する事で資本金を減少させる事ができますが、合同会社の場合は会社法にて「損失補填の他、各種払い戻しのために資本減少できる」と限定されています。
「払い戻し」を行うケースとしては、社員(役員)が退社する場合と、既存社員に対し出資価格の範囲内で資本金から払い戻しをする場合です。
合同会社は株式会社とは違い、役員である社員=出資者のため、社員が退社する際に出資持分を払い戻す事があります。(※譲渡する方法もあります)この場合、会社に体力があれば剰余金から払い戻せますが、ない場合は資本金を減少させて払い戻す事になり、役員退社登記と同時に資本金減少登記も必要です。
また、既存社員に出資額の範囲内で払い戻しをする場合も、剰余金がない場合は資本金を取り崩して払い戻す事になるため、資本金を減少させる登記が必要となります。
「損失補填のため」に資本を減少させるケースとしては、過去の業績がふるわず損失が出ている場合、会社の資本金を取り崩して損失補填すると言うもので、これによって貸借対照表の体裁を整える事ができます。
また、代表者の未払い報酬がある場合、これを会社に現物出資して資本金を増加後、その増加した資本金を使って損失を補填し、最後に資本減少手続きを行う事で、未払い報酬をなくして貸借対照表の体裁を整える事も可能です。
(※この場合増資登記を一度行うため費用が別途必要。)
損失補填のための資本減少の場合も、総社員の同意で定款を変更し、業務執行社員で決議します。
尚、いずれのケースにせよ、債権者保護手続きが必要となりますので注意が必要です。
この手続きは、資本減少に異議がある場合申し出て欲しい旨を一ヶ月以上の期間を定めて官報に公告し、且つ会社の債権者に通知するもので、会社の大事な財産的基礎である「資本金」を減らす事が、場合によって債権者の権利を侵害する可能性があるため必要とされいます。
資本減少の効力は債権者保護手続き完了時に発生しますので、手続きには官報公告等の申込から二ヶ月以上を要します。資本減少をお考えの際にはお早目にご相談下さい。
費用のご案内
(合同会社の減資)
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当事務所基本報酬
金55,000円(税込)
+
実費
(登録免許税 金3万円・事後謄本費用等)
+
官報公告費用
(金3〜4万円前後)
+
その他登記費用
(資本金減少の登記以外の登記がある場合)
※未払い役員報酬を現物出資して
資本増加させた後に損失補填し、
その後資本減少登記を行う場合や
役員退社の変更登記申請など。 |
- 他手続きもご依頼される場合別途費用がかかります。ご相談下さい。
- 完了後にお渡しする登記事項証明書一通分の費用が含まれています。1通以上必要な場合には、必要通数分の実費を追加で頂いておりますのでご依頼の際にお申し付け下さい。
- 当事務所の司法書士がお客様の所へお伺いする場合は、出張費を頂く事がありますのでお問合せ下さい。
合名・合資会社の場合は減資の際に登記が必要な事がある
合名・合資会社の場合は「資本金」は登記事項ではないので、登記申請は必要はありません。
但し、会社法の計算規則では、引渡しや会社への支払いの完了した出資範囲内で資本の部として計上するものを「資本金」とする旨決められています。よって、減資する場合は資本金に計上されているお金を経理帳簿上で減らすだけです。
しかし、資本金を減らす理由が社員に出資金を払い戻す事だった場合は別の登記が必要となります。
これは登記事項となっている「社員に関する事項」の「出資の目的」(使途ではなく出資物や金額の事)に記載されている出資金額が変わる事になるからです。
この場合は社員に関する事項において変更登記が必要になります。また、払い戻す事でその社員が退社する場合も登記申請が必要となります。社員に関する事項は定款の記載事項なので、総社員の同意で定款を変更して登記を申請する事になります。会社の帳簿上だけの変更で社員の出資目的に変更がない場合は変更登記は不要です。
尚、持分会社の中で資本減少のための債権者保護手続きが規定されているのは合同会社だけです。合名、合資会社の場合は資本金が減少しても債権者保護手続きは不要です。
費用のご案内 |
当事務所基本報酬
金22,000円(税込)
+
実費
(登録免許税 金1万円・事後謄本費用等) |
※他手続きもご依頼される場合別途費用がかかります。ご相談下さい。
※完了後にお渡しする登記事項証明書一通分の費用が含まれています。
1通以上必要な場合には、必要通数分の実費を追加で頂いております
のでご依頼の際にお申し付け下さい。
※当事務所の司法書士がお客様の所へお伺いする場合は、出張費を頂く
事がありますのでお問合せ下さい。
一般社団法人・医療法人・宗教法人の減資
一般社団法人、医療法人、宗教法人等のその他の法人格については、資本金という概念がないため減資をするための登記申請手続きはありません。もし、ご自分の法人格に登記手続きが必要かどうかご不明の場合は、まずはご相談下さい。
寺西広司法書士事務所では様々な法人格のお手続きを行っておりますので、お客様の法人格にそった手続きをご案内させていただいております。初回相談は無料です。